2007 Fiscal Year Annual Research Report
器官の「数」はいかに進化するのか?〜昆虫の生殖器・交尾器を材料に〜
Project/Area Number |
19770046
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上村 佳孝 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 助教 (50366952)
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Keywords | 昆虫 / 器官の数の進化 / 生物多様性 / 交尾器形態 / 繁殖生態 / 性選択 |
Research Abstract |
個体あたりの器官の「数」は動物の種類によって,そして器官の種類によって異なる,器官の数の進化は,どのような理由で?どのような機構で?そしてどのようなタイムスケールで生じるのだろうか?昆虫類の雌雄生殖器・交尾器の形態は,このような器官の数の進化の原因・機構・時間スケールの研究に格好の材料であり,本研究は昆虫類全般を対象とした「数の進化」の事例集約と整理を主目標の一つとしている. 今年度は不完全変態昆虫では蜻蛉目・紡脚目・半翅目(一部),完全変態昆虫では膜翅目(オスのみ)・双翅目(一部)やトビケラ類の一部について,文献調査をおこない,紡脚目・ヨコバイ類・ナガカメムシ類・ヒメトビケラ類・ショウジョウバエ類・ヒロクチバエ類・アリ類・ヒラタハバチ類などについて,実物標本に基づく文献記載情報の再検討をおこなった。 ショウジョウバエ類の研究の結果,交尾器パーツの数の変化に,交尾時のオスによるメスへの創傷行動が関与している可能性が示され,誌上および学会講演にて発表した。このような創傷行動は,メスが生涯に一回しか交尾をおこなわないと考えられているクロヤマアリ(膜翅目)においても生じていることが本年度の研究において発見された。様々な配偶様式を持つ,多くの昆虫のグループにおいて,このような現象が生じているものと思われ,現在,昆虫類全般を網羅的に検討する準備を進めている。 ヨコバイ類を用いた研究では,オス交尾器パーツの数の変化に対応した,精子形態の共進化が示唆された。この問題については,20-21年度により詳細な調査をおこなう。
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Research Products
(4 results)