2009 Fiscal Year Annual Research Report
器官の「数」はいかに進化するのか?~昆虫の生殖器・交尾器を材料に~
Project/Area Number |
19770046
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上村 佳孝 Keio University, 商学部, 専任講師 (50366952)
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Keywords | 昆虫 / 器官の数の進化 / 生物多様性 / 交尾器形態 / 繁殖生態 / 性選択 |
Research Abstract |
個体あたりの器官の「数」は動物の種類によって,そして器官の種類によって異なる.器官の数の進化は,どのような理由で?どのような機構で?そしてどのようなタイムスケールで生じるのだろうか?昆虫類の雌雄生殖器・交尾器の形態は,このような器官の数の進化の原因・機構・時間スケールの研究に格好の材料であり,本研究は昆虫類全般を対象とした「数の進化」の事例集約と整理を主目標の一つとしている.今年度は主に次に挙げるような成果を得た。 1.モデル生物として重要であり、ゲノム情報の蓄積が進んでいるキイロショウジョウバエ種亜群(Drosophila melanogaster species subgroup)の既記載種9種について、交尾器パーツ数進化を詳細に分析した。結果、このグループにおいては、オスのaedeagusに付属する2対の突起のうち、オス腹側の一対が分離-融合の変化を少なくとも2回生じ、その形態変化に対応して、メス交尾器も相関して進化していることが明らかとなった。本グループ内では、種間交雑が可能なペアがあり、異種間の交尾では、交尾時にオス交尾器がメス交尾器に与える創傷の程度が大きくなることも明らかとなった。 2.3年度の事業を通し、特にオスの精子流路にあたる形質の交尾器パーツの数の変化について、文献および標本の検討を行ってきた。今年度は絶翅目・鞘翅目、鱗翅目、長翅目について特に検討をおこなった。これにより、竹節虫目・績翅目・半翅目・鱗翅目のそれぞれ一部については、今後標本の検討による確認をおこなう必要を残したものの「昆虫類全体を俯瞰する」という当初の目的をほぼ達成できた。
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Research Products
(2 results)