2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 芳樹 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (70444099)
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Keywords | 遺伝学 / 母性遺伝 / 光ピンセット / 進化 |
Research Abstract |
母性遺伝は生殖プログラムにより遺伝子レベルで制御されていた (BP31)母性遺伝変異体BP(BiParental)31株では、葉緑体母性遺伝の基盤である雄葉緑体核様体の消失が起きないのみでなく、ペリクル形成等を含む接合子成熟プログラム全般が停止してしまう。qPCRによる遺伝子発現パターン解析の結果、野生型接合子で観察されるような配偶子特異的パターンから接合子特異的パターンへの遺伝子発現の速やかな切り替えがBP31では起こらないことがわかってきた。原因遺伝子を特定すべく、TAIL-PCR、genomic PCRを行った結果、BP31ではタグ周辺の60Mbpが欠損していることがわかった。欠損した遺伝子群の野生株、変異体における発現パターン比較解析をおこない、有力な候補としてホメオボックス遺伝子GSP1が特定された。CSP1は、雌配偶子に特異的なホメオボックス遺伝子として報告された遺伝子で(Kurvari et al., JBC 1998)、雄配偶子特異的ホメオボックス遺伝子GSM1と協調して接合子特異的プログラム開始に寄与すると考えられている(Lee et al., Cell 2008)。しかし、これまで母性遺伝との関与を示す報告はなかった。本結果により、母性遺伝が生殖プログラムのモジュールとして遺伝子レベルで制御されていることが明らかになった(Nishimura et al., in preparation)。 (BP14)BP14は、雄葉緑体核様体が消失した後、本来保護されるべき雌葉緑体核様体も不安定化される変異体である。タグはTudor staphylococcal nuclease like gene (TSNL)イントロンに挿入されており、スプライシング異常を引き起こしていた。TSNLはシロイヌナズナにおいてmRNA splicing、細胞死など様々な現象に関わっており(Sundstroem et al., Nature Cell Biol. 2009)、今回得られた変異体の詳細な解析により母性遺伝の新たな側面が見えてくるかもしれない。
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Research Products
(7 results)