2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770051
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北野 健 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (40336219)
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Keywords | メダカ / 性分化 |
Research Abstract |
今年度は、生殖細胞及び減数分裂細胞を可視化できるトランスジェニックメダカ系統を用いて、細胞増殖因子MISの性分化時期での生理的機能を解明することを目的に研究を行った。 1.メダカ性分化時期での生殖細胞の増殖におけるMISシグナリングの機能 メダカ性分化の最初の指標は、生殖細胞数の性差である。MISまたはその受容体MISRIIの機能阻害を行うために、MIS-アンチセンスオリゴ(AS)またはMISRII-ASをolvas-GFP系統(生殖細胞をGFP蛍光により可視化)の受精卵へ顕微注入を行った。その結果、性分化前では、機能阻害胚における雌雄の生殖細胞数は、コントロール胚とほぼ同数であった。しかしながら、性分化時期では、コントロールの雌個体は、雄個体の約2倍の生殖細胞数を示すのに対し、MIS及びMISRII機能阻害胚では、雌雄で有意に生殖細胞数が減少し、性差も認められなかった。 2.メダカ性分化時期での生殖細胞の分化におけるMISシグナリングの機能 メダカ生殖細胞は、生殖細胞の増殖後、雌では減数分裂を開始するが、雄では有糸分裂を停止する。減数分裂開始におけるMISシグナリングの役割を解明するため、本研究室で作製されたsycp1-EGFP/olvas-DsRED系統(減数分裂細胞をGFP蛍光で、生殖細胞をRED蛍光で可視化)を用いて、MIS及びMISRIIの機能阻害実験を行った。その結果、MISまたはMISRII機能阻害胚では、雌雄ともにGFP陽性の生殖細胞は観察されなかった。また、生殖腺領域を用いたRT-PCR解析では、生殖腺体細胞の性特異的マーカーの発現パターンには変化が認められないことが分かった。これらのことから、メダカMISシグナリングは、性分化時期における雌雄両方での生殖細胞の増殖と雌での減数分裂開始には必須であるが、性分化には関与しない可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)