2008 Fiscal Year Annual Research Report
フェロモン記憶を司る副嗅球ニューロンの3次元超微細形態の解析
Project/Area Number |
19770053
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
守屋 敬子 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (70392371)
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Keywords | 鋤鼻系 / 副嗅球 / フェロモン記憶 / 電子顕微鏡 / 三次元構築 / 相反シナプス / 樹状突起スパイン / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
フェロモン情報処理の一次中枢であり、フェロモン記憶の座である副嗅球ニューロンの形態的機能的特性を理解する目的で、単一ニューロンの3次元的配置と微細形態の解析を行なった。 副嗅球・急性スライス脳標本を作成し、投射ニューロンである僧帽/房飾(M/T)細胞と、介在ニューロンである顆粒細胞をパッチして、biocytinを注入した。即固定し、FITC-avidin-goldを用いて単一ニューロンを可視化し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。 M/T細胞は、複数の糸球体からの入力を受けることが知られているが、その様式はニューロンごとにかなり異なっていた。副嗅球後部に存在するものでは、前後方向ではなく、内外方向に広がりをもつ入力を受けていた。顆粒細胞は、多くはM/T細胞層側に細い樹状突起を伸ばし、大型の樹状突起スパインをもった典型的なもの(type A顆粒細胞)であったが、一部の穎粒細胞は、樹状突起を水平に伸ばし、小型のスパインを持つもの(type B顆粒細胞)であった。機能的な特性を確認する目的で、副嗅球培養細胞を用いて、顆粒細胞の経時的動態を観察したところ、type A顆粒細胞に比べてtype B顆粒細胞は、樹状突起スパインの動的変化が大きいことが明らかとなった。更に、副嗅球ニューロンのシナプス分布を確認するために、連続超薄切片を作製後、電子顕微鏡で観察し、3次元構築ソフトにて樹状突起を再構築した。この作業は、予想以上に労力と時間のかかるものであり、現在までに生物学的な意義を見いだせるまでのデータは得られていないが、近日中に結果を得られる見込みである。 単一ニューロン上のシナプスの密度、シナプス特性は、ニューロンの性質を決める重要なファクターであるが、技術的なハードルが高く、労力が必要なため、同様の研究報告を行なっている例はまだ少数である。今回、技術面での確立が達成されたため、今後他の脳領域での研究への応用も可能と思われる。
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Research Products
(3 results)