2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体情報計測・運動計測の統合による昆虫の飛行制御システムの解析
Project/Area Number |
19770055
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 規泰 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 助教 (70436591)
|
Keywords | 昆虫 / 飛行 / 筋電位 / レーザ / テレメトリ / 機械感覚 / 羽ばたき / 翅 |
Research Abstract |
本年度は,自由飛行中の飛翔筋の活動.と羽ばたき運動の解析と,羽ばたき制御に関わる中枢神経系の組織学的な解析を実施した.まず,自由飛行中の昆虫の飛翔筋制御と羽ばたき運動の関係を明らかにするため,チョウ目昆虫のエビガラスズメ(Agrius convolvuli)の自由飛行について,飛翔筋電位計測とレーザパターンプロジェクタを用いた羽ばたき運動解析を行った.その結果,2つの異なる種類の飛翔筋が,活動電位発生のタイミングの違いによって,羽ばたき振幅の体軸に対して平行な成分と鉛直な成分の大きさを調節していることが明らかになった.このことから,飛翔筋あたりの運動単位が少なく,比較的高い周波数(35-40Hz)で羽ばたぐ昆虫では,飛翔筋活動のタイミング制御が重要であると考えられる.次に,このような飛翔筋活動の調節に重要な役割を果たす,翅の機械感覚受容器の中枢投射を,蛍光色素を神経束断端から順行性染色することで解析した.その結果,多くの投射は運動中枢である胸部神経節で観察された.このことは,羽ばたき運動ごとに送られる感覚情報が,比較的短い経路によって運動パターン形成に関わる介在神経や運動神経の調節を行っていると考えられる.一方で,解析した前翅・後翅の主要な6つの経路について,いずれについても腹髄神経束を上行し,食道下神経節へも投射することが分かった.この領域は,視覚などの他の感覚情報も入力される領域であることから,機械感覚とこれらの感覚情報が統合され,羽ばたき運動の調節に関わっていることが示唆された.
|
Research Products
(4 results)