2007 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞のイオン代謝応答による魚類の体液調節と環境適応
Project/Area Number |
19770057
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 明 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (40311336)
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Keywords | 魚類生理学 / 電気生理学 / 体液ホメオスタシス / イオン輸送体 / フグゲノム / 重炭酸輸送体 / 硫酸輸送体 / 輸送上皮細胞 |
Research Abstract |
魚類の高い体液ホメオスタシスの能力を3種類の輸送上皮細胞(エラの塩類細胞,腎の尿細管,腸の粘膜上皮細胞)の振る舞いとして理解するため,メフグの上皮細胞に発現するイオン輸送体を同定して電気生理学的な特性を明らかにし,組織・細胞レベルでの局在を特定した。【炭酸カルシウムの白い糞の形成メカニズムの解明】海水魚は腸から重炭酸イオンを活発に分泌してカルシウムイオンを沈殿させて糞として排出することが知られるが,その分子機構は明らかでない。網羅的な発現解析によりメフグ腸の重炭酸輸送体を特定し,アフリカツメガエル卵母細胞を用いた電気生理学的解析によりそれらの起電性の重炭酸輸送活性を明らかにした。さらに免疫染色により局在部位を決定した結果,近位尿細管頭頂膜のSlc26a6A, Slc26a6Bと側底膜のNBCelによる重炭酸分泌の分子機構を解明した。【2価イオンの排泄機構の解明】海水魚はMgSO_4を腎臓で尿中に濃縮して排泄するが,その分子機構は明らかでない。網羅的な硫酸輸送体の発現解析によりメフグのSlc26a6Aはメフグの腎臓で海水適応に伴い発現が強く上昇する事,またアフリカツメガエル卵母細胞を用いた電気生理学的解析によりSlc26a6Aは他の類似輸送体やマウスSlc26a6に比べ100倍強い起電性のSO_4O/CI^-交換輸送活性を有する事を見出した。またSlc26a6Aが近位尿細管の頭頂膜に局在していたことから, Slc26a6Aが尿中にSO_4Oを分泌・濃縮している可能性が示された。また海水魚は活性の強い硫酸輸送体を進化の過程で獲得した可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)