2008 Fiscal Year Annual Research Report
D-アルギニンの生合成と光学選択性を持たないアルギニンキナーゼに関する研究
Project/Area Number |
19770058
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
宇田 幸司 Kochi University, 教育研究部・自然科学系, 助教 (10448392)
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Keywords | D-アミノ酸 / アルギニンキナーゼ / クレアチンキナーゼ |
Research Abstract |
環形動物類のケヤリ(Sabellastarte indica)の生体内には高濃度で遊離D-アルギニンと, そのリン酸化合物である遊離D-アルギニンリン酸が存在している。また, D-アルギニン及びL-アルギニンを共に基質として利用し, D-アルギニンリン酸及びL-アルギニンリン酸を合成することのできる特異なアルギニンキナーゼが存在している。アルギニンキナーゼはフォスファゲンキナーゼファミリーに属する酵素で, 無脊椎動物に広く存在するが, ケヤリ以外の生物に存在するアルギニンキナーゼはL-アルギニンのみを基質とし, D-アルギニンを利用することはできない。 本年度の研究により, このケヤリ・アルギニンキナーゼの54, 64, 89, 320位のアミノ酸残基の重要性が確認された。これらのアミノ酸残基へのアミノ酸置換変異体を用いた酵素機能の比較によると, 54位のアミノ酸残基は酵素触媒反応に関与すること, 64, 89, 320位のアミノ酸残基は基質認識に関与することが示された。また, 他の生物から単離されたアルギニンキナーゼやフォスファゲンキナーゼファミリーの他の酵素を用いたアミノ酸置換変異体による研究でも, 89位のアミノ酸残基が基質認識に関与することが示された。 これらの研究成果に基づき, 今後はL-アルギニンまたは, D-アルギニンのみを基質とするケヤリ・アルギニンキナーゼの作製により, 人工的な光学特異性の導入を目指す予定である。
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