2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 徹 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 博士研究員 (80374198)
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Keywords | 食植性昆虫 / 種分化 / 遺伝学 / DNA / マイクロサテライト |
Research Abstract |
マタラテントウ類の多くの種は、比較的限られた種類の植物だけを利用することが知られ、同所的な近縁種が食草の違いだけにより生殖的に隔離されていることが確認されている。このことは、マダラテントウ類においては、食草選択に関する遺伝子が種分化に直接関与した可能性を示唆する。本研究は、いくつかの近縁なマダラテントウ種について、遺伝統計学的解析に必要とされる多型マイクロサテライトマーカーを設定し、最終的には食草選択に関わる遺伝子の数、およびそれらが存在すると思われる領域を特定しようと試みる。 本年度は、ルイヨウマダラテントウおよびHenosepilachna diekeiを主な対象とし、それぞれについて、解析に必要とされる多型マイクロサテライトマーカーの設定を試みた。具体的には、成虫個体より精製したゲノムDNAを制限酵素で切断し、カセット配列を結合してPCR増幅を行なった。得られたPCR断片とビオチン標識したマイクロサテライト特有の繰り返し配列をハイブリダイゼーションさせ、磁石ビーズを用いて選択的に回収した。その後、得られた断片をさらにPCR増幅してクローニングし、塩基配列を決定した。こうして得られた配列の中から、マイクロサテライト配列が含まれていたものを多型マーカーの候補として選定し、PCRプライマーを設計した。その結果、ルイヨウマダラテントウについては9個の候補マーカーが得られた。 今後は、候補マーカーの収集を継続するとともに、得られたマーカーのそれぞれについて、野外サンプル30〜50個体のDNAを鋳型としてPCRを行ない、多型判定を行う。そして、多型マーカーが十分に得られた種については、種内多型および近縁種との遺伝的分化の程度を詳細に調査し、遺伝統計学的解析に基づく食草遺伝子領域の探索を目指す。
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Research Products
(2 results)