2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770060
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
加藤 徹 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 助教 (80374198)
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Keywords | 昆虫 / 進化 / 遺伝学 / 種分化 |
Research Abstract |
マダラテントウ類の多くの種は、比較的限られた種類の植物だけを利用し、非常に近縁な種間でも異なった植物を食い分ける。そして、ある種群においては、同所的な近縁種が食草の違いだけで生殖的に隔離されていることが確認されている。このように、食草変換によって種分化が引き起こされたとされるマダラテントウ種においては、食草選択に関する遺伝子そのものが直接種分化に関わった可能性が示唆される。本研究は、食草の違いだけで生殖的に隔離されていることが予想されているルイヨウマダラテントウおよびヤマトアザミテントウの2種(集団)について、食草変換に関わる遺伝子群の遺伝統計学的解析を行なうことを最終目標に、解析に必要とされる多型マイクロサテライトマーカーの設定を試みた。具体的には、ルイヨウマダラテントウ成虫個体より精製したゲノムDNAを制限酵素で切断し、カセット配列を結合してPCR増幅を行なった。その後、得られたPCR断片からマイクロサテライト特有の繰り返し配列を選択的に回収してPCR増幅とクローニングを行ない、塩基配列を決定した。こうして得られた配列の中からPCRプライマーを設計し、8個の候補マーカーを得た。そして、得られたマーカーのそれぞれについて、野外から採集したルイヨウマダラテントウおよびヤマトアザミテントウ複数個体のDNAを鋳型としてフラグメント解析を行ない、マーカーの多型判定を行なった。その結果、少なくとも3つのマーカーで多型が認められたが、何れも変異の程度が非常に小さく、かつ集団間で分化を示すような変異は確認されなかった。このことは、両集団がごく最近、極めて短時間のうちに分化を遂げたため、食草選択に関わる遺伝子の変異以外、ゲノム上の遺伝分化がほとんど生じてないことを示唆する。
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Research Products
(3 results)