2009 Fiscal Year Annual Research Report
インド・太平洋域に分布するフサカサゴ科魚類の分類・進化・生物地理学的研究
Project/Area Number |
19770067
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
本村 浩之 Kagoshima University, 総合研究博物館, 准教授 (90433086)
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Keywords | 分類学 / 魚類 / 多様性 / 生物地理 / 進化 / 形態 / フサカサゴ科 / フサカサゴ属 |
Research Abstract |
平成21年度は本研究課題の最終年であるため,これまでに収集したフサカサゴ属Scorpaenaとネッタイフサカサゴ属Parascorpaenaの標本の計測と解析を行うと伴に,発見された未記載種の記載と学名の変更に関する論文執筆に全力を尽くした.未記載種の発表や既知種の学名整理に必要なタイプ標本が所蔵されているヨーロッパの博物館(フランス・パリ自然史博物館,ドイツ・センケンベルグ自然史博物館,ドイツ・ベルリン自然史博物館,オランダ・ライデン自然史博物館など)や南アフリカ水棲生物研究所を本年度前半に訪問し,タイプ標本や歴史的標本の観察およびデータ採取を行った.その結果,これまで分類学的に正体不明だった全ての名義種の有効性および帰属が明らかになった.タイプ標本と一般標本の解析によって明らかになった各種の地理的変異,成長による形態変化,性的二型,分布域,正確な学名(シノニム関係)を公表するための論文執筆を進めている.本年度はその内の一部を5論文として出版することができた. フサカサゴ属とネッタイフサカサゴ属は,商業上重要あるいは海洋生態系の中で重要な位置を占めるにもかかわらず,分類学的に混乱していた.本研究でこれら両属が分類学的に整理されたことによって,魚類学および水産学の基礎的知見に大いに貢献し,今後の各種の生態学あるいは資源学に関する研究が飛躍的に進むと期待される.
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