2008 Fiscal Year Annual Research Report
単細胞接合藻ヒメミカヅキモの性フェロモンによる生殖隔離機構の解析
Project/Area Number |
19770068
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
土金 勇樹 Japan Women's University, 理学部, 学術研究員 (20434152)
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Keywords | 種分化 / 生殖隔離 / 性フェロモン / 有性生殖 / 接合藻 / ミカヅキモ |
Research Abstract |
陸上植物に最も近縁な単細胞生物の仲間であるヒメミカヅキモには、生殖的に隔離された交配群の存在が報告されている。本研究では、この生殖隔離に性フェロモンがどのように関わっているのかを明らかにする。交配群IEは,他の交配群(IIA, IIB)と生殖的に隔離されており, その性フェロモン(PR-IPおよびPR-IP Inducer)も交叉活性を示さない。また、交配群IIAの+型細胞と交配群IIBの-型細胞の掛合わせでは接合が見られるものの, 逆の掛合わせでは接合が見られない。これは、交配群IIAの-型細胞が放出する性フェロモン(交配群IEのPR-IPに相当)のみが, 交配群IIBの+型細胞にほとんど作用出来ないことが原因であった。 今年度では、まず、本研究により確立された系統保存株の接合実験を行い、生殖隔離の程度と新規系統保存株の交配群を決定した。次に、18s rDNAの介在領域である1506group I intronを指標に種内系統関係を明らかにしたところ、+型, -型の接合型を持つヘテロタリック株においては、生殖隔離の程度と年物学的種間の遺伝子距離は相関していることが明らかになった。また、ヒメミカヅキモには、クローン細胞同士で接合子を形成するホモタリック株が存在するが、交配群IIBのヘテロタリック株と極めて近縁な系統関係を持つ系統保存株を複数確立した。 また、PR-IPは19kと42k Daのサブユニットからなるが、今年度では新規に42k Daサブユニットの遺伝子配列を明らかにした。交配群の性フェロモン遺伝子の単離と配列比較を行なったところ、直接細胞に作用する19kDaサブユニットは、42k DaサブユニットおよびPR-IP Inducerと比較して相同性が低下しており、交配群IIAの19k Daサブユニットの配列の違いにより、交配群IIBの受容性が低下するものと考察した。
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[Presentation] Characterization of two receptor-like proteins relating to the sexual reproduction of a unicellular charophycean alga, Closterium peracerosum-strigosum-littorale complex2008
Author(s)
Sekimoto, H., Akatsuka, S., Ichikawa, M., Marukawa, Y., Takekawa, Y., Abe, J., and Tsuchikane, Y
Organizer
The Vth Asian Pacific Phycological Forum
Place of Presentation
Victoria University, Wellington, New Zealand
Year and Date
2008-11-14
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