2009 Fiscal Year Annual Research Report
単細胞接合藻ヒメミカヅキモの性フェロモンによる生殖隔離機構の解析
Project/Area Number |
19770068
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
土金 勇樹 Japan Women's University, 理学部, 学術研究員 (20434152)
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Keywords | 種分化 / 生殖隔離 / 性フェロモン / 有性生殖 / 接合藻 / ミカヅキモ |
Research Abstract |
陸上植物に最も近縁な単細胞生物の仲間であるヒメミカヅキモには、+型、-型の接合型(性)を持つヘテロタリックと呼ばれる交配様式が知られており、その有性生殖は性フェロモンにより制御されている。また、生殖的に隔離された複数の交配群が存在する。本研究では、ミカヅキモの生殖隔離に性フェロモンがどのように関わっているのかを明らかにした。交配群IIAの+型細胞と交配群IIBの-型細胞の掛合わせでは接合が見られるものの、逆の掛合わせでは接合が見られない。本年度では、交配群IIAの-型細胞が放出する性フェロモン(交配群IEのPR-IPに相当)のみが、交配群IIBの+型細胞にほとんど作用出来ないことを、性フェロモン遺伝子の発現解析を通して明らかにした。また、ヒメミカヅキモには、クローン細胞同士で接合子を形成するホモタリック株が存在するが接合過程は明らかになっていなかった。そのため、その接合過程の詳細を解析し、ホモタリック株から性フェロモン相同遺伝子を単離、酵母を用いて産生することで、その生理活性を明らかにした。また、採集したヒメミカヅキモの種内系統樹を作製し、これをもとにホモタリック株と最も近縁なヘテロタリック株である交配群IIBの株に注目した。生体染色法を用いた混合実験を行なったところ、ホモタリック株は少なくともヘテロタリック株の+型細胞と接合した。これは両者の間で性フェロモンによる情報交換が正確に行なわれたことを示唆している。このように交配様式が異なっていても、性フェロモンの一次構造によっては生殖隔離の壁が取り除かれることが明らかになり、ヒメミカヅキモの生殖隔離における性フェロモンの重要性が示された。
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Research Products
(8 results)