2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770072
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
富谷 朗子 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 研究員 (60392940)
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Keywords | 系統進化 / 発生・分化 / 微生物 / シアノバクテリア |
Research Abstract |
シアノバクテリアは原核生物の中でも形態的多様性に富む分類群であり,その形態的特徴は,現生種や化石の重要な分類学的形質となっている。特に糸状性シアノバクテリアは,4種類の細胞分化や,分枝形成といった多細胞生物的な性質を持ち,発生学的・進化学的にも興味深い。しかし,糸状性シアノバクテリアの多様な形態の進化過程や形成機構の詳細はわかっていない。 本研究では,シアノバクテリアの中で最も複雑な形態的特徴を持つスチゴネマ目に着目し,その分枝形成の機構と進化を遺伝子レベルで調べることで,糸状性シアノバクテリアの形態的多様化の背景を明らかにすることを目指している。本年度は,特にスチゴネマ目の分枝様式の進化史の解明と,分子遺伝学的手法を確立に焦点を置き,以下の研究を行った。 1.形態的多様性を考慮して選んだ5属13株のスチゴネマ目シアノバクテリアを材料に,16S rRNA,異質細胞形成のマーカー遺伝子の配列に基づいた分子系統樹を作成した。得られた系統関係と,各株の分枝の発生様式を比較し,スチゴネマ目の分枝様式の進化過程を考察した。 2.スチゴネマ目シアノバクテリアの形質転換を行うため,本年度は,主に接合による遺伝子導入の実験条件の検討を行った。一方で実験材料を選定のため,5属8株のスチゴネマ目シアノバクテリアについて,培養と導入効率の検討を進めた。 3.分枝形成に関与する遺伝子の表現型観察のため,自家蛍光タンパク質GFPをレポーターとしたベクターコンストラクトの構築を行った。
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