2007 Fiscal Year Annual Research Report
アゲハチョウ科昆虫における食草認識の多様性を支える分子基盤解明
Project/Area Number |
19770075
|
Research Institution | JT Biohistory Research Hall |
Principal Investigator |
中 秀司 JT Biohistory Research Hall, その他, 研究員 (00443846)
|
Keywords | 昆虫 / 分子認識 / 多様性 / 生理活性 |
Research Abstract |
平成19年度に実施した研究内容は,1)ナミアゲハ(以下ナミ)の近縁種から,ナミから発見された産卵刺激物質受容体PxutGr1と相同な遺伝子を同定し,そのリガンドを特定する,2)PxutGrlの種内変異について調べ,変異が存在する場合はPxutGrlのリガンドであるシネフリンの受容能に変化をもたらす部位を特定する,の2つである。 1)にっいて,PxutGrlの配列をプローブとして,同属のキアゲハ・クロアゲハ・モンキアゲハの3種から類似の遺伝子を同定する事ができた。3種のうちキアゲハはナミと近縁であるが,セリ科植物を食草としており,産卵刺激物質は大きく異なる事が予想される一方,ナミと近縁でないクロ・モンキの2種はナミと同じ食草を利用しており,クロについては産卵刺激物質が一部重複する事が分かっている。これら遺伝子間の相同性は,食草を異にするキアゲハのみで低い事が予想されたが,予想に反して,得られた遺伝子及びそのゲノム構造はナミとキアゲハ,クロとモンキでそれぞれ相同性が高かった。キアゲハに起こった大きな食草選択の違いは,受容体に起きたわずかな変化によってもたらされた可能性が高い。しかしながら,これら遺伝子のリガンドを特定するには至っていないため,今後リガンドの特定を進めていく必要がある。 一方,2)PxutGrlの種内変異に関しては,種内変異の存在は認められたが,シネフリン受容能の変異を発見するには至っていない。
|