2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子量1300万ダルトンの巨大粒子ボルトの立体構造決定
Project/Area Number |
19770082
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 秀明 Osaka University, 蛋白質研究所, 助教 (40346169)
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Keywords | ボルト / RNA-蛋白質複合体 / X線結晶構造解析 / 核膜孔複合体 / 核一細胞質間物質輸送 / 生体超分子複合体 / SPring-8 / BL44U |
Research Abstract |
1986年に米国UCLAのRomeLH.らのグループによってラット肝臓より単離されたボルトは、3種類の蛋白質と1種類のRNAによって構成されており、分子量約1300万Daでサイズが約40×70nmという今日までに報告されている中では最大のRNA-蛋白質複合体である。ほとんどの粒子は細胞質内に存在するが、全体量の5%程度が核膜孔複合体(NPC)とその周辺に局在し、核一細胞質間物質輸送に関与しているのではないかと考えられている。しかし、発見から20年以上を経た現在もなお、生理的な輸送基質は明らかになっていない。最近になり、ヒト由来ボルトを構成するRNAが、抗癌剤のミトキサントロンと特異的に結合するという報告があり、ボルトの多剤耐性への関与を示す有力な証拠となっている。また、緑膿菌感染の際、ボルトが肺上皮細胞の脂質ラフトに急速に集まる現象が確認されており、自然免疫反応への関与も示されている。この様な生体超分子複合体の機能は、各構成成分によって巧妙に制御されている事がいため、ボルト粒子全体の立体構造決定は機能解明のための大きな突破口を開くことが期待される。 我々はボルトの全立体構造を決定するため、粒子を構成成分にばらさずに生体内に存在するそのままの状態で取り出し、結晶化することに成功した。得られた結晶はSPring-8の生体超分子専用ビームラインBL44XUにおいて3.5ωÅ分解能の反射を示した。現在、ボルト粒子のクライオ電顕モデルを初期位相として用いた分子置換法と非結晶学的対称(NCS)による平均化によって構造解析を進めている。
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Research Products
(6 results)