2007 Fiscal Year Annual Research Report
アミノペプチダーゼNの反応機構と基質認識機構の解明
Project/Area Number |
19770088
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中嶋 義隆 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80372770)
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Keywords | ペプチダーゼファミリM1 / 亜鉛含有酵素 / 基質認識機構 / 酵素反応 |
Research Abstract |
当該年度では、(1)ヒトアミノペプチダーゼN(APN)の大量発現系の構築(2)野生型および変異型大腸菌APNの酵素活性および結晶構造に基づいた基質認識機構の研究を行ってきた。(1)については、酵母を用いた大量発現系の構築を行っているが、現在のところ目的酵素の発現に成功していない。来年度も引き続き条件検討を行う。(2)の大腸菌APNでは、本酵素の幅広い基質特異性に関与すると推定したMet260をAlaへと置換したM260A変異体を作製し、この変異体酵素の速度論的研究を行った。アミノ酸-βNA基質を用いた活性測定から、N末端がArg,Ala,Leu,Lysである基質を順に好むことが判明した。野生型では、Arg、Lys,Ala,Leuの順であり、M260A変異体はArgに対する高い活性を保持していたものの、Lysに対してはk_<cat>K_M値で野生型の13.2%に低下していた。またM260A変異体は野生型酵素に特徴的であったPro基質に対する活性が消失した。M260A変異体のX線結晶構造解析から、Met260のAlaへの置換を除いて、変異体の活性部位構造は野生型APNと違いがほとんど見られなかった。Met260は活性部位のN末端側鎖結合ポケットに存在する。このMet260側鎖のコンホメーション変化によって、N末端側鎖結合ポケットの大きさを変化させ、多様な基質を認識することが判明した。またM260A変異体酵素-Arg複合体の結晶化に成功し、その結晶構造を明らかにすることに成功した。Arg側鎖は基質のN末端を認識するGlu121の主鎖カルボニル基およびAsn373の側鎖アミド基酸素と水素結合を形成していた。ヒトAPNもArg基質に対して高い活性を示す。特にGlu121カルボニル基によるArg側鎖の認識は、APNに共通した機構であると推定される。
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