2008 Fiscal Year Annual Research Report
高度好熱菌tRNAを耐熱化する硫黄化修飾機構の解明
Project/Area Number |
19770096
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鴫 直樹 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, バイオメディシナル情報研究センター, 研究員 (20392623)
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Keywords | 転移RNA / 硫黄 / 好熱菌 / 生合成 / タンパク質合成 / 酵素 / 分子生物学 |
Research Abstract |
RNA分子に多彩な機能を与える修飾塩基の生合成は未解明な部分が多く、修飾塩基の機能解析のため解明が待たれる分野である。高度好熱菌tRNAを耐熱化する働きをもつ硫黄化修飾の生合成を試験管内で解析した。本年度は生合成因子(IscS、SufS、TtuA、TtuB、TtuC)の変異型を数種類調製し解析し以下を明らかにした。まず、硫黄キャリアタンパク質TtuBのグリシン残基(65位)がTtuCとIscS(又はSufS)により硫黄化され、チオカルボキシレートTtuB-COSHが生成される。TtuCの保存されたシステイン残基(192位)は、他の硫黄化合物の生合成では必須とされているが、意外なことにtRNAの硫黄化には必須ではなく反応機構の差異があると考えられる。またTtuCの遺伝子破壊株はチアミンやモリブデン補酵素などの硫黄化合物の生合成もできない。そこでこれらの硫黄化合物の生成に用いられるTtuBとは別の3つの硫黄キャリアタンパク質の硫黄化実験とその立体構造モデルの構築により、TtuCはこれら3つのタンパク質の硫黄付加にも関与していることを明らかにした。以上の結果により生体内の硫黄化合物の生合成系の機能的、進化的関連性が強く示唆され、その分子基盤の詳細を明らかにすることができた(2008EMBO)。さらにTtuB-COSHの硫黄原子はTtuAによりtRNAに導入されるが、これまでは試験管内での反応には細胞抽出液の添加が必要であった。反応に必要な因子を探索した結果、補因子結合型のTtuAを用いると高効率で硫黄導入がおこり、新規な反応機構であることが示唆された。 また細胞内でのTtuAとTtuBの転写の様式を調べた。両者はゲノム上で隣り合っており、単一のmRNAとして転写されていることをRT-PCR法により確認できた。両者の発現量が同等のレベルになるように制御されていると推測でき興味深い。
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Research Products
(4 results)