2007 Fiscal Year Annual Research Report
AKT活性を修飾する新しい分子標的の探索とその生物効果の解析
Project/Area Number |
19770098
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水津 太 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 助教 (90431379)
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Keywords | AKT / ユビキチン / タンパク分解 / リン酸化 / セリンスレオニンキナーゼ / ダウン症 / 21Trisomy / TTC3 |
Research Abstract |
申請者は、Yeast Two Hybridシステムによるスクリーニング法を用いセリンスレオニンキナーゼAKTに特異的に結合し、AKT活性の制御に重要な役割を果たすTTC3(Tetraco Tripeptide Repeat Protein 3)を同定した。TTC3はヒト21番目染色体短腕上のDown Syndrome Critical Region(DSCR)遺伝子座に存在し、ダウン症発症、またはダウン症に特徴的な心臓奇形、白血病、脳発達障害、short statueなどの表現型に関与している可能性が示唆されている。ダウン症は極めて多彩な臨床症候を示す遺伝子疾患であるが、これまでその発症の分子機構はいまだ不明のままである。出生したダウン症患者の多くは、21番目染色体(21 chromosome)を3本もつ21 Trisomyである。21 Trisomyの発生は、精母(卵母)細胞の減数分裂過程において、21 chromosomeが偶発的に不等分配されることによって、21 chromosomeを3本もつ受精卵が生じる事に起因する。そのためDSCRがダウン症発症の原因遺伝子領域として注目されている。 申請者はこれまでの研究で、TTC3が細胞の核に局在し、活性化型(Thr308リン酸化)AKTのみを特異的に認識しポリユビキチン化するE3ユビキチンリガーゼである事を生化学的に証明した。またそれにより活性型AKTの分解(不活性化)を促されることから、これまで不明であった核内の活性化型AKTのdownregulationがTTC3を介したユビキチン-プロテアソーム分解系によって制御されている事を生化学的、細胞生物学的な解析により初めて明らかにした。(Suizu et al. submitted 2008)。
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