2009 Fiscal Year Annual Research Report
AKT活性を修飾する新しい分子標的の探索とその生物効果の解析
Project/Area Number |
19770098
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水津 太 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 助教 (90431379)
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Keywords | AKT / ユビキチン / タンパク分解 / リン酸化 / セリンスレオニンキナーゼ / ダウン症 / 21Trisomy / TTC3 |
Research Abstract |
本研究において、Yeast Two Hybridスクリーニング法により、セリンスレオニンキナーゼAktに特異的結合するTTC3(Tetratricopeptide Repeat Protein 3)を同定した。これまでの報告では、TTC3はヒト21番目染色体長腕上のダウン症責任遺伝子領域(Down Syndrome Critical Region)に存在し、ダウン症に特徴的な心臓奇形、白血病、脳発達障害、short statueなどの表現型の発現に関与している可能性が示唆されていた。 TTC3の詳細な解析を進めたところ、TTC3は細胞核に局在し、活性化(Thr308のリン酸化型)Aktのみを特異的に認識し、ポリユビキチン化するE3プロテインユビキチンリガーゼである事が細胞生物学的、および生化学的な手法により証明された。また活性化Aktはプロテアソームによって分解(不活性化)されることから、これまで不明であった核内の活性化Aktのdown regulationが、TTC3を介したユビキチン-プロテアソーム分解系によって制御されている事が初めて明らかになった。また、ダウン症由来の細胞株では有意にTTC3発現量が上昇し、それと逆相関して、リン酸化(活性化)Aktの減少とそれに伴う細胞増殖の低下がみられた。RNAi法によるTTC3の発現抑制やTTC3の過剰発現による解析においても、TTC3の発現量とリン酸化Aktの発現量は逆相関しており、TTC3が積極的にAktの活性抑制に寄与する機能分子である可能性が強く示唆された。また、TTC3を過剰発現させた細胞は、細胞周期のG_2/M期に蓄積することから、TTC3が直接的または、Akt活性を阻害することによって間接的にG_2/MからG1期への移行を抑制し、細胞増殖を阻害する活性をもつことが示された(Suizu et al. Developmental Cell 2009)。
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