Research Abstract |
補体レクチン経路は,mannose-bindinglectin (MBL)およびficolinが,体内に侵入してきた病原体表層糖鎖を直接認識し活性化される。MBLおよびficolinには,3種のMBL-associatedserineprotease (MASP)が結合し,複合体を形成している。レクチン経路活性化の際に,MASP-1は補体成分C3を限定加水分解により直接活1生化し,活性化したC3はオプソニンとして作用する。MASP-2はC4とC2を活性化し,活1生化されたC4とC2は,C3転換酵素を形成する。一方,MASP-3の生理的機能については不明である。本年度は,3タイプのMASP欠損マウス(MASP-1/3KO,MASP-2KO,MASP-1/2/3KO)のファゴサイトーシス能について解析をおこなった。FITC標識したStaphylococcus aureusをマウス腹腔内に投与し,1時間後,腹腔内細胞を採取し,細胞内に取り込まれた細菌数をFACS解析により測定した。また,S.aureusを腹腔内感染させ,感染後3日目のマウスの臓器(脾臓,腎臓,肝臓,肺)ホモジェネートを寒天培地で培養し,各臓器における残存細菌数を計測した。MASP-1/3KOマウスとMASP-1/2/3KOマウスの腹腔内細胞のファゴサイトーシスレベルは,ともに野生型マウスの約60%まで低下していた。S.aureus感染後の各臓器における細菌残存数は,MASP-1/3KOマウスおよびMASP-1/2/3KOマウスにおいて野生型マウスを上回り,有意な差が見られた。MASP-1/3KOマウスおよびMASP-1/2/3KOマウスにおいて,ファゴサイトーシス能の低下が認められたことから,MASP-2よりもむしろMASP-1あるいはMASP-3がオプソニン作用においてより重要な役割を果たしている可能性が考えられる。
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