2007 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の複合体型カチオン/プロトン対向輸送体の研究
Project/Area Number |
19770116
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
山口 利男 Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences, 薬学部, 助教 (50434452)
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Keywords | 微生物 / 生体分子 / 膜蛋白質 / イオン輸送 / 対向輸送体 |
Research Abstract |
pha遺伝子群(phaAB-G)は、根瘤菌Sinorhizobium melilotiの細胞内寄生に必須の遺伝子群として同定され、変異体の表現型解析からK^+/H^+ antiporterをコードしていると考えられている。Phaシステムと類似の配列をもつ複合体型cation/H^+ antiporter(CPA-3 family transporter)は、枯草菌を始め数種の細菌からも同定されており、遺伝学的解析および大腸菌を用いた異種発現による機能解析が報告されている。興味深い事に、輸送活性が確認されているCPA-3 family輸送体のほとんどはNa^+選択性が極めて高く、K^+の輸送は行わないことが明らかとなっており、Phaシステムとは異なることが示唆されている。しかしながら、Phaシステムの酵素学的特性ついては、S.melilotiにおけるイオン輸送の解析が技術的に困難であるため、ほぼ未知であった。そこで我々は、イオン輸送の解析手法が確立されている大腸菌を用い、異種発現によりPhaシステムの詳細な酵素学的特性の解析を試みた。大腸菌の主要な三つのNa^+(K^+)/H^+ antiporterを欠損させた株(TO114株、nhaA^-,nhaB^-,chaA^-)を用い、Phaシステムがこの株のアルカリ感受性およびNa^+感受性を相補するか否かを指標にcation/H^+ antiport活性の評価を行ったところ、Phaシステムがアルカリ条件下でK^+/H^+ antiport活性を持つことが示唆された。さらに、大腸菌から反転膜小胞を調製し、アクリジンオレンジ消光法により輸送活性の詳細な解析を行ったところ、Phaシステムが確かにK^+/H^+ antiport活性を持ち、かつNa^+の輸送も行うことが示された。以上より、Phaシステムが他のCPA-3 family輸送体とは大きく異なる特性を持つことが初めて明らかとなった。
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