2009 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の複合体型カチオン/プロトン対向輸送体の研究
Project/Area Number |
19770116
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
山口 利男 Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences, 薬学部, 助教 (50434452)
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Keywords | 微生物 / 生体分子 / 膜蛋白質 / イオン輸送 / 対向輸送体 |
Research Abstract |
昨年度までにおいて、Sinorhizohium melilotiの複合体型カチオン/プロトン対向輸送体(CPA-3 family輸送体)であるPhalシステムの大腸菌における発現系を確立し、Phalシステムの機能解析を行った。その結果、Phalシステムが既知のCPA-3 familyの輸送体と異なりK^+輸送能を持つこと、K^+だけでなくNa^+の輸送能を持つこと、またNa^+/K^+選択性がpHによって変化することを明らかとした。さらに興味深い事に、Na^+輸送とK^+輸送が異なる機構によって制御されている可能性も見出した。これらの知見については2009年にMicrobioligy誌に掲載された。一方で、他のCPA-3 family輸送体に見られないK^+輸送能に必須のPhalサブユニットの特定を目的として、Na^+選択性の高い複合体型カチオン/プロトン輸送体であるBacillus pseudofirms OF4由来のmrp_(BsOF4)遺伝子群を基としたサブユニット置換実験を昨年度末から開始した。mrp_(BsOF4)サブユニットの遺伝子のうち何れか1つを欠くもの、及びそれに対応するPhalのサブユニット遺伝子を大腸菌に共発現させ(計7株作製)、それらの活1生について評価を試みたが、何れもカチオン/プロトン対向輸送活1生の検出には至らなかった。以上の結果より、Phalサブユニットの発現量が少なすぎる可能性、及びMrp_(BpOF4)由来のサブユニットとPhalのサブユニットが複合体を形成しない可能性が示唆された。今後は、共発現系の検討及び精製蛋白を用いた複合体形成実験等により、これらの可能性について検証していく。
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