2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺田 透 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特任准教授 (40359641)
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Keywords | フォールディング / 分子動力学 / ミニ蛋白質 / マルチカノニカル / chignolin / generalized Born |
Research Abstract |
研究代表者らは、水溶液中で特定の構造をとらないペプチドGPM12(配列はGYDDATKTFG)にβヘアピン構造を形成するミニ蛋白質chignolin (GYDPETGTWG)の残基を導入したキメラペプチドについて、マルチカノニカル分子動力学シミュレーションを用いて自由エネルギー地形の計算を行い、Asp4をProに、Lys7をGlyに置換したGPM12(D4P/K7G)変異体はchignolinと同様なβヘアピン構造をとることを明らかにしている。また、NMRを用いた立体構造決定によって、この計算機による予測が正しいことを確認している。当該年度は、D4P/K7G変異によってβヘアピン構造をとるようになるメカニズムを明らかにするために、部分ペプチドAce-Asp-Pro-NMeについて自由エネルギー地形の計算を行った。この結果、50%以上の確率でこのペプチドはchignolinの該当部分に非常に近い構造をとることが明らかとなった。この構造分布の偏りは、Aspの側鎖がNMeのアミド基と形成する水素結合、およびProの5員環とAspとの間の立体障害によって引き起こされると考えられ、ヘアピン構造の開始に有利である。一方、Gly7は左巻きαヘリックス構造をとることで、ヘアピン構造を完成させる役割を担っていると考えられる。従って、ミニ蛋白質においても、通常の大きさの蛋白質と同様に、短距離相互作用と長距離相互作用が矛盾なく形成されることが立体構造形成に重要であると言える。また、本研究において溶媒和自由エネルギーを近似的に求めるために用いているgeneralized Bornモデルについて精度の比較を行い、OBC GB法が、自由エネルギー地形を高い精度で効率良く求める上で、最も有用であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)