2008 Fiscal Year Annual Research Report
光分解性クロスリンカーを用いたシャペロニン制限空間内でのフォールディングの解析
Project/Area Number |
19770127
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
元島 史尋 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 助教 (70372464)
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Keywords | 分子シャペロン / フォールディング / GroEL / GroES / クロスリンカー |
Research Abstract |
本研究はGroELによる変性作用を排除し、空洞の影響だけを反映したフォールディングを観察することを目的である。当初予定していた光分解性クロスリンカーによる研究は、タンパク質との標識によってクロスリンカーの性質が変化するため分解できなったため、残念ながら利用することができなかった。 しかし、別の実験によりGroELによるフォールディングについて新たな知見が得られた。これらの実験に基づくと、GroELによるフォールディングはこれまで考えられてきた「空洞内への隔離の後フォールディングが開始する」のではなく、「空洞内に隔離された後もGroELに変性状態のまま結合しており、フォールディングがある程度進んだところで完全にGroELから解離して即座にフォールドする」という過程を経ていることがわかった。このとき、空洞内への隔離はフォールディングに必須であり、誤って空洞外に出たものは一から自発的フォールディングが始まることも確認した。以上のことから、GroELによるフォールディング促進作用の最も重要な因子はGroELが空洞内で変性タンパク質と結合することでアンフォールド状態を保つことであると推測された。これらの結果から、GroELへの結合に伴う変性作用はフォールディングの律速段階に関わること、空洞はGroELから解離後のフォールディングに必須であることが初めて証明できた。空洞が必須な理由はまだ謎である。現在以上について論文を投稿するところである。
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Research Products
(3 results)