2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770129
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村上 緑 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (20324387)
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Keywords | ロドプシン / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
視物質ロドプシンは網膜視細胞に存在する光受容膜タンパク質で、G蛋白質共役型受容体(GPCR)のモデルタンパク質である。発色団レチナールが光を吸収するとロドプシン分子全体の構造変化が惹起され、細胞質側の結合部位に共役したG蛋白質へと光情報を受け渡す。本研究は、イカロドプシン結晶を用いてロドプシンが担うG蛋白質活性化の分子機構の全容を構造学、分光学の両面から解明することを目指している。本年度は、前年度に引き続き分解能の向上をはかり、ロドプシンの精製・結晶化条件の精密化を行い、その結果、十分に大きく、良質な結晶を得ることができた。この結晶をもちいて回折データセットを収集、構造解析を行い、最終的にはイカロドプシンの立体構造を2.5Å分解能で決定することに成功した。この構造から、1)GPCRの膜貫通領域はほぼ保存されていること、2)細胞質側のG蛋白質共役部位が堅いドメイン構造であること、3)9個の水分子クラスタが活性部位とG蛋白質共役部位を結ぶ水素結合網を形成し、細胞内シグナル伝達に寄与していること、4)発色団レチナールのプロトン化シッフ塩基とその対イオンGlu180は5Å離れていること、5)GPCRの生理的な二量体がヘリックス4と5を接合面として会合していること、6)細胞外側領域どうしの塩橋による相互作用が無脊椎動物の目が偏光を検出するのに寄与していること、が新たに明らかとなった。
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