2007 Fiscal Year Annual Research Report
マウス学習記憶過程における一酸化窒素(NO)の生理学的役割の解明
Project/Area Number |
19770134
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
北村 美一郎 Tokushima Bunri University, 香川薬学部, 講師 (70348829)
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Keywords | 脳・神経 / シグナレ伝達 / NO測定 / 行動学 |
Research Abstract |
1. NOセンサーを用いた小脳NO産生濃度の測定 従来の数少ないNO測定報告によると,in vivo脳ではμMレベルのNOが産生されている可能性がある.これまで脳神経径でのNO産生濃度はnMレベルであったため、これを受けてμMレベルのNO濃度まで対応できるよう実験系を変更した.また,後述の聴性脳幹反応測定時にはケタミン+キシラジン麻酔を用いているが,全く応答が取れなかったり,測定終了後にマウスが死亡する場合が見られた.そこで今後は安定性に定評のあるイソフルラン麻酔系を用意し,NO測定実験を行うことにした. 2. 聴性脳幹反応(ABR)による老化マウスの聴力測定 野生型マウスのABRの経時的変化を調べたところ,ごく低周波数(1kHz)の音刺激を用いた場合,9〜50週令ではほとんど閾値に差はなく,60週令以上では閾値が上昇していた.高周波数(10kHz)の場合でも,加齢に伴って徐々に閾値が上昇していた.またSAMP8(10週令)のABR応答を調べたところ,野生型マウス(9週令)との間に有意な差は見られなかった.従来の結果では,10週令のSAMP8は瞬目反射学習ができないが,この障害は聴力低下によるものではなく,老化に伴う脳機能の障害に依存するものであることが確認できた. 3. 瞬目反射条件付け学習獲得過程における神経型NO合成酵素阻害薬7-NIの影響 条件付け直前に野生型マウスに7-NIを皮下投与して瞬目反射学習を施したどころ,非投与群との間には大きな差は見られないというpreliminaryな結果が得られた.我々のグループでは,血管系・神経系問わず広く用いられるNO合成酵素阻害剤L-NAMEを小脳皮質に注入して条件付けを行ったところ,瞬目反射学習が阻害されるという結果が得られている.今回の結果から,用いるべきNO合成酵素阻害剤およびそのマウスへの投与方法の重要性を再確認することができた.
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