2008 Fiscal Year Annual Research Report
マウス学習記憶過程における一酸化窒素(NO)の生理学的役割の解明
Project/Area Number |
19770134
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
北村 美一郎 Tokushima Bunri University, 香川薬学部, 講師 (70348829)
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Keywords | 脳・神経 / シグナル伝達 / NO測定 / 行動学 |
Research Abstract |
・聴性脳幹反応を指標とした老化マウスの聴力の経時的変化測定 マウスを用いて老化や神経変性疾患における瞬目反射連合学習の障害を調べる際に, この学習パラダイムでは条件刺激として音を用いるため, 聴力低下の有無を調べることが重要である.そこで, 野生型マウス(C57BL/6J)の老化に伴う聴力変化を調べるため, 聴性脳幹反応(auditory brainstenlresponse : ABR)の経時的変化を長期にわたって調べた.低周波数の音刺激(1kHzのトーン音刺激, 瞬目反射条件づけの条件刺激として用いる音刺激と同じ条件)を用いた場合では, 9〜60週令でほとんど閾値(=聴力)に差はなかった(約50dB).それ以上の週令では聴力は徐々に低下していた(60週令…約70dB, 70〜90週令…約80dB).また, 比較的高周波数の音刺激の場合(10kHzのクリック音刺激), 加齢に伴って徐々に聴力が低下していた(9週令…約30dB, 30〜50週令…約45dB, 60週令…約60dB, 90週令で約70dB).これまで老化マウス(85〜90週令)では, 瞬目反射条件づけ(音刺激として85dBの音刺激を使用)において重度の学習障害が見られることがわかっている.これらの結果から, 80〜90週令のマウスが80〜85dBの音刺激に応答していたことから, 従来報告されている老化マウスの学習阻害は聴力自体の低下によるものではなく, 記憶に関わる脳機能の障害によるものであることがわかった.
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