2007 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞タンパク質合成系を利用した光受容膜タンパク質の発現法と機能解析への応用
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19770136
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
下野 和実 The Institute of Physical and Chemical Research, タンパク質基盤研究グループ, 研究員 (30415187)
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Keywords | 光受容膜タンパク質 / 無細胞タンパク質合成 / ステロイド系界面活性剤 / リポソーム / 部位特異的ラベル / 非天然アミノ酸導入 / バクテリオロドプシン / フォールディング |
Research Abstract |
本研究は,無細胞タンパク質合成技術を利用して光受容膜タンパク質の大量機能発現系を開発し,詳細な機能解析に応用することを目的とする.本年度は,大腸菌抽出液による無細胞タンパク質合成系を用いて,光駆動型プロトンポンプであるバクテリオロドプシン(BR)を,活性を保持した状態で大量に得る系を確立することを目的とした.効率の良い膜移行のために,界面活性剤により凝集体形成を抑制しつつ,同時にリポソームに再構成させる方法を検討し,以下に示す結果を得た. 様々な種類の界面活性剤(11種)を検討した結果,ステロイド系界面活性剤(コール酸,CHAPS,ジギトニン)と卵黄フォスファチチジルコリンを反応液のみに共存させ,透析による界面活性剤除去と脂質リポソーム形成を同時に行わせた時にBRの機能体を脂質層に挿入された状態で大量に合成(約0.5mg/mL反応液)できることを見いだした.さらに本法によって合成されたBRは,天然試料と同様の光化学反応と光誘起プロトン移動機能を有していることを確認した.またコール酸/卵黄フォスファチチジルコリン共存系において機能発現過程を解析した結果,高濃度のコール酸存在下では,タンパク質合成は阻害されていた.透析による界面活性剤除去が進むとタンパク質合成が開始され,リポソームも同時期に形成されていた.さらにリポソーム形成速度とフォールド分子生成速度は一致していた.従って本法では,脂質ディスクまたは脂質・界面活性剤混合ミセルで疎水性の高いポリペプチド鎖を保護し,凝集体の形成を抑制しながら,BRの脂質膜移行が起き,フォールディングが効率良く進行すると考えられる.
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