2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子モデルを使った微小管結合モーター蛋白質の拡散運動メカニズムの解明
Project/Area Number |
19770138
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
箕浦 逸史 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子動態解析技術開発チーム, 研究員 (70373371)
|
Keywords | 微小管 / ブラウン運動 / モーター蛋白質 / ナノ粒子 / 非特異的静電相互作用 |
Research Abstract |
微小管上を運動するモーター蛋白質と微小管との弱い結合のメカニズムを理解することを目的として、微小菅の表面電荷を改変したミュータント微小管を作成し、荷電ナノ粒子との相互作用を観察した.この相互作用は、これまでの研究から、モーター蛋白質と微小菅との弱い結合と類似性が高いことが明らかである。 この実験を定量的に再現性よく行なうため、ガラス表面をPEG化し、そこに微小管を固定する方法を検討し確立した。更に、微小管表面に突出しているチューブリンC末端のグルタミン酸残基のクラスターを切除、またぱグルタミンに置換したミュータントチューブリシを発現精製した.このミュータント微小菅を用いて、荷電ナノ粒子との弱い結合を測定したところ、これらの突出したグルタミン酸残基は粒子を引き寄せて1次元ブラウン運動を起こすことを促進するが、表面への静的な結合には影響しかいことが明らかとなった。 このように、蛋白質としては初めて、運動自由度を保ちつつ結合を促進する非特異的な相互作用の分子的な基盤が明らかとなった。この機構によって、キネシン、ダイニンなどの蛋白質分子モーターの弱結合中の挙動を説明できると考えられる。さらに、細胞中の物質の拡散の制御や、蛋白質の細胞骨格上へ局在させるメカニズムを理解するための基礎的な知見が得られた。
|
Research Products
(2 results)