2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子モデルを使った微小管結合モーター蛋白質の拡散運動メカニズムの解明
Project/Area Number |
19770138
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
箕浦 逸史 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子動態解析技術開発チーム, 研究員 (70373371)
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Keywords | 非特異的静電相互作用 / ナノ粒子 / 微小管 / キネシン / KIF1A / チューブリン / ミカエリスーメンテン |
Research Abstract |
タンパク質問の相互作用メカニズムは、タンパク質の相補的な構造どうしが結合する、いわゆる「鍵と鍵穴」モデルで理解されてきた。しかし、そのモデルにあてはまらず、これまで研究されてこなかった非特異的静電相互作用に基づいた、モータータンパク質の微小管に沿った拡散運動を理解するため、我々は電荷やサイズが既知の荷電ナノ粒子を合成し、これら粒子と微小管との相互作用を計測した。得られたデータを元に、非特異的静電相互作用がミカエリスーメンテン型のモデルで理解できることを提唱した。この成果は論文として発表した(印刷中)。 また、上記の非特異的静電相互作用の理解を更に進め、上記モデルが実際の分子モーターの運動ににどのように寄与しているかに迫った。静電相互作用に関わるチューブリンの構造的な基盤を理解するため、チューブリン分子を遺伝子改変し、タンパク質を発現精製することで、その機能の解明を行なった。単頭キネシンKIF1Aは単頭にも関わらず微小管上を連続的に運動できることが知られているが、その運動をつなぎ止めているのは弱結合中にチューブリンC末端とKIF1A分子が静電的に結合するためであると考えられてきた。しかし、我々の実験によると、これまで広く信じられてきた説とは異なり、チューブリンC末端は必ずしもKIF1Aの弱結合中の運動には必須ではないことを発見した。このことは、我々が提案した非特異的な静電相互作用の特徴でもある。 更にいくつもの変異チューブリンについて比較検討を行なうことで、KIF1Aの弱結合には少なくとも2種類の異なる結合様式があることが明らかになった。この結果は単頭キネシンKIF1Aのみならず、双頭キネシン、更にはダイニンやミオシンにも応用できる可能性がある。この成果については学会で公表し、広く議論の対象としているところである。
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Research Products
(6 results)