2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770142
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 綾 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50436276)
|
Keywords | ヒストン / メチル化 / 遺伝子発現調節 |
Research Abstract |
遺伝情報を含むDNAはヒストンとともに規則正しいクロチン構造を形成し、メチル化やアセチル化などさまざまなヒストン修飾が遺伝子発現の調節に関与している。当研究では、未同定のヒストン脱メチル化酵素を探索し、その転写調節における機能を解析するため、はじめにin vitroクロマチン再構成系を確立した。クロマチンの再構成に必要なトポイソメラーゼIやACF,NAP-1,ヒストンなどを昆虫細胞や大腸菌で発現させ、イオン交換カラムやアフィニティーレジンなどを用いて高度に精製した。得られた各タンパク質因子の量を注意深く条件検討し、プラスミドDNA上に規則正しいヌクレオソームを再構成することに成功した。再構成したクロマチンはsupercoiling assayやmicrococcal nuclease assayによって確認した。未同定のヒストン修飾酵素のうち、まずヒストンH3K27脱メチル化酵素を探索する目的で、H3K27メチル化酵素複合体を再構成した。H3K27のメチル化はEZH2を触媒サブユニットにもつPRC2(Polycomb Repressive Complex)というタンパク質複合体によって行われる。Native PRC2はこれまでに複数の研究グループによって精製されており、それぞれ構成サブユニットに違いが見られる。当研究では報告されたPRC2に共通して見出されている4つのサブユニット(EZH2, SUZ12, EED, RbAp48)を用いて組換え体を作製することにし、これらを発現する組換えバキュロウィルスを作製して昆虫細胞内で4つのタンパク質を同時発現させた。いずれのタンパク質も高発現したが、発現したタンパク質の大部分は不溶性画分にあった。可溶性画分にあるPRC2複合体を陽イオン交換(SP sepharose)および陰イオン交換(Q seharose)カラムを用いて精製した結果、大部分の細胞タンパク質をPRC2複合体から除去することができた。また、コントロールとしてK27をアラニン残基に変えたヒストン変異体も大腸菌を用いて作製し、精製した。残念ながらH3K27脱メチル化酵素は、UTXおよびJMJD3というタンパク質であることが2007年秋に他の研究グループにより報告された。しかし、これら脱メチル化酵素の機能を解明するためには今後さらなる解析が必要である。また、H3K27以外にも重要な未同定ヒストン修飾酵素があるのでこれらの探索も行っていきたい。
|