2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770142
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 綾 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (50436276)
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Keywords | ヒストン / ミチル化 / 遣伝子発現調節 |
Research Abstract |
遺伝情報を含むDNAはヒストンとともに規則正しいクロマチン構造を形成し、メチル化やアセチル化などさまざまなヒストン修飾が遺伝子発現の調節に関与している。当研究では、未同定のヒストン修飾酵素の探索および転写調節機構を解析するため、in vitroクロマチン再構成系を確立した。クロマチンの再構成に必要なヒストンシャペロンやクロマチンリモデリング因子などを昆虫細胞や大腸菌で発現させ、イオン交換カラムやアフィニティーレジンなどを用いて高度に精製した。各因子の量などを注意深く条件検討し、プラスミドDNA上に規則正しいヌクレオソームが形成されていることをsupercoiling assayやmicrococcal nuclease assayによって確認した。ヒストンH3K27脱メチル化酵素を探索する目的で、H3K27メチル化酵素複合体PRC2(Polycomb Repressive Complex)およびH3K27をアルギニン残基に変えたヒストン変異体を作製した。Native PRC2はこれまでに複数の研究グループによって精製されており、それぞれ構成サブユニットに違いが見られる。当研究では報告されたPRC2に共通して見出されている4つのサブユニット(EZH2, SUZ12, EED, RbAp48)を用いて組換え体を作製した。バキュロウィルスにより発現させたこれらのタンパク質の大部分は不溶性だったが、可溶性画分にあるものを陽イオン交換(SP sepharose)および陰イオン交換(Q seharose)カラムを用いて精製した結果、大部分の細胞タンパク質をPRC2複合体から除去することができた。また、H3K27を用いてin vitroで規則性の高いクロマチンを再構成することに成功した。昨年度、他の研究グループによりH3K27脱メチル化酵素としてUTXおよびJMJD3が報告されたが、ひき続きヒストン修飾と転写制御の関連について調べるため、ピストンH3N末端にあるメチル化部位や転写活性化に密接に関連するH3K4を変異させたピストン変異体を作製し、in vitroでクロマチンを再構成した。現在、これらの変異が転写に及ぼす影響などについて検討中である。
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