2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンクラスタリング(遺伝子集積)による骨格筋分化制御機構の解明
Project/Area Number |
19770149
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大川 恭行 Kyushu University, 医学研究院, 特任准教授 (80448430)
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Keywords | クロマチン / 骨格筋分化 / 高次制御システム |
Research Abstract |
細胞の分化は, 単一の遺伝子で制御されているのではなく, 異なる発現制御をもつ多数の遺伝子がセットになり, 大きなプログラムとして動くことで始めて可能になる。しかし, 分化プログラムが成立するためには, そのさらに上流の複数の遺伝子にまたがる制御メカニズムが必要である. 申請者は、骨格筋分化において、これらのイベントが特定遺伝子のみならず、複数のグループ遺伝子ごとに、まとまって各段階で同調的に制御されていることを見出し、ジーンクラスタリングと呼ぶ高次制御システムの解明を行った。骨格筋分化段階での遺伝子集積が起こるかを、3C解析を用いた分子生物学的な解析、及び、in situ DNAハイブリダイゼーションを用いた可視化を伴う細胞生物学的な解析の双方を用いて検討を行ったところ、分化の極めて早い段階においてジーンクラスタリングが形成されることを見出した。次に3Cアッセイを複数のゲノム上で解析することで、遺伝子集積がおこる領域を特定を試みたところ、ほとんどの場合、これら集積領域は遺伝子の制御領域に当たるプロモーター、エンハンサー領域に極めて限局されていることを明らかにした。さらに、遺伝子集積が起こる時期の培養細胞や、組織サンプルを用いて、MyoD結合タンパク質の探索をもとに遺伝子集積に関与する分子を生化学的に同定を試みたところ、少なくとも2種類の新規クロマチンリモデリング因子が関わっていること、これら新規クロマチンリモデリング因子は、従来のヒストン-DNA構造の制御ではなく、全く異なるメカニズムでジーンクラスタリングを誘導していることが明らかとなった。同定した分子をRNA干渉法を用いてノックダウンさせたところ、骨格筋分化が阻害されたことから、ジーンクラスタリング現象は分化現象において重要な位置を占めていることが示唆されている。
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Research Products
(3 results)