2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック転写因子によるHSP遺伝子転写制御機序と動脈硬化発症に関する研究
Project/Area Number |
19770154
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
橋川 直也 Okayama University of Science, 理学部, 助教 (60434982)
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Keywords | heat shock factor / heat shock protein / heat shock element / Saccharomyces cerevisiae / oligomerization |
Research Abstract |
生物に普遍的な熱ショック応答では、高温などのストレスにより、熱ショック転写因子(HSF)が熱ショックタンパク遺伝子の転写を誘導する。HSFは三量体を形成し、標的遺伝子のHSE(Heat Shock Element)に結合する。HSEは5'-nGAAn-3'の逆向き反復配列であり、3個のリピート(nGAA=3)にはHSF三量体が1つ、4個以上のリピート(nGAAn≧4)には三量体が2つ結合する。一方、酵母Hsf1の転写活性化能力は、熱ショックにより引き起こされるリン酸化、および、これに伴う何らかの構造変化により制御されていると考えられている。 三量体形成領域に変異を持つHsf1タンパクは、酵母菌内においてnGAA=3のHSEにはほとんど結合できないが、nGAAn≧4のHSEには結合能力を示した。これにより、変異酵母株は致死にはならないが、熱ショック応答においていくつかの標的遺伝子の転写を誘導できず高温感受性になることが示された。さらなる解析より,オリゴマー形成はHsf1のリン酸化にも必須であることが明らかになった。一方この変異Hsf1の表現型は、DNA結合領域の203番のValがAlaに置換することにより抑圧された。V203A変異は、nGAAn≧4のHSEへの結合を野生型Hsflレベルにまで回復させ、さらに、nGAAn=3のHSEへの結合を促進した。 これらの結果より、DNA結合領域は、Hsflのオリゴマー形成および三量体間の相互作用に重要な役割を果たし、203番のValがその一端を担っていることが示唆された。
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