2008 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック転写因子によるHSP遺伝子転写制御機序と動脈硬化発症に関する研究
Project/Area Number |
19770154
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
橋川 直也 Okayama University of Science, 理学部, 助教 (60434982)
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Keywords | HSF / HSP / HSE / 動脈硬化症 / HSP25 |
Research Abstract |
粥状動脈硬化症は酸化LDL、高コレステロール血症、ずり応力などの血行力学的作用、化学的損傷、感染症などから生じる血管内皮細胞障害と炎症によって特徴付けられる多因子疾患である。それらはストレス応答を活性化させ、熱ショックタンパク質(HSP)を誘導すると考えられている。 動脈硬化症の進行とHSPの関係を明らかにする為に、動脈硬化自然発症モデルマウスであるApoE KOマウスの大動脈起始部を用い、HSPの局在、タンパク質発現量、および血漿中HSPのタンパク量を解析した。 HSP25、HSP70の発現は大動脈組織では血管平滑筋細胞及びマクロファージの発現量に依存していた。また大動脈起始部でのHSP25およびHSP70タンパク量は、動脈硬化症の進行により変化した。HSP25の組織化学的所見および生化学的所見が同様の傾向をとったことから、血漿におけるHSP25の濃度が粥状動脈硬化症の進行の特異的マーカーとなりうる可能性が示唆された。それに対しHSP70においては、組織化学的所見と生化学的所見が一致せず、血漿中のHSP70は他の臓器からのHSP70であり、血管組織からのHSP70でないことが考えられた。血漿中のHSP70は粥状動脈硬化症の特異的マーカーとはならないものの、血漿中のHSP25およびHSP70のタンパク量を比較することで、粥状動脈硬化症などの血管障害と他の疾患を見分ける指標になると示唆された。
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