2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770155
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
小川 英知 National Institute for Basic Biology, 性差生物学研究部門, 助教 (20370132)
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Keywords | 転写因子 / 核内レセプター / クロマチン / SUMO化修飾 / 転写制御 / 核内構造 |
Research Abstract |
我々は生殖腺の分化に不可欠な転写因子Ad4BPのSUMO化修飾特異的に相互作用する因子としてクロマチンリモデリング活性を有すると推測される因子SCFの単離に成功し、クロマチンリモデリングや核内構造のダイナミックな変換反応との関連において、転写因子のSUMO化修飾の機能を明らかにしてきた。本研究課題では、SCFの転写制御機構を明らかにするために、SCFの過剰発現およびsiRNAによるノックダウンを行った細胞を用いレポーターアッセイを行った。Ad4BPの標的であるStARのプロモーター領域をもつレポータープラスミドを用いて転写活性化能を調べた結果、SCFの過剰発現によってAd4BPの転写活性化能は抑制され、siRNAによって内在のSCFをノックダウンした場合には促進が見られた。これらの結果から、SCFはAd4BPの転写活性化能において抑制的に機能するコファクターであると考えられた。またSCFはATPase活性を有するクロマチンリモデリングファクターに保存されたSNF2ドメインをもつ。このことから、ATPase活性が転写の抑制機能に関与しているかどうかを明らかにするため、同様のレポーターアッセイの実験系に、ATPaseの活性中心に変異を導入したATPse変異体SCFを導入した。その結果、若干の抑制能を保持するものの、このATPase変異体は明らかにAd4BP標的遺伝子に対する抑制活性が減弱していた。この結果はSCFの転写抑制能がATPase活性を介していることを強く示唆し、おそらくAd4BPはSCFによるATP依存的なクロマチンの高次構造の変化によって転写抑制を行っていると考えられる。本研究成果は、機能の不明であった転写因子SUMO化修飾の意義を明らかにするために重要な知見であり、この転写機構の解明により多段階からなる転写機構の解明において新規の概念を提唱できると考えている。
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