2007 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素応答に関わる細胞内情報伝達の細胞外環境依存的な制御機構の解析
Project/Area Number |
19770158
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳥居 暁 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 助教 (10444001)
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Keywords | 低酸素 / 転写調節 / HIF-1 / ストレス |
Research Abstract |
細胞の低酸素応答機構は近年その研究が急速に進んでおり多くの知見が得られてきている。その中で特にHIF-1とそのファミリー分子が低酸素応答において重要な基本因子であることが見出されている。当研究室の予備的実験において、ラットの副腎髄質クロム親和性細胞であるPC12細胞を異なる培地で培養すると低酸素応答に差が生じ、その原因は培養液中のマグネシウム濃度と数種のアミノ酸濃度が重要であることがわかってきていた。またマウスにおいても同様に栄養状態依存的に低酸素応答に差が生じることが見出されていた。しかし、その詳細な分子機構に関しては未解明なままであり、本研究においてはその解明を目的とした。栄養状態依存的な低酸素応答の違いが起こる要因として、近年同定されたHIF-1転写活性化経路の阻害因子であるIPASが候補であるという証左が得られてきているので、その低酸素応答の変化への寄与の程度を調べるため培養細胞を用いた実験を行った。PCl2細胞にIPASを過剰発現させたところ、コバルト依存的な低酸素誘導が抑制された。さらに内在性のIPASをsiRNAによって減少させた場合、栄養状態依存的な低酸素応答の差が部分的に見られなくなった。このことから上記の現象にはIPASが重要な因子であることがわかった。また、他の細胞種を用いた研究から上記のような現象は内分泌系の細胞種に特有の現象である可能性が示唆された。今後上記の結果を元にして、マウスのおいての解析を進展させる予定である。
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