2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770159
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鳥居 征司 Gunma University, 生体調節研究所, 助教 (40312904)
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Keywords | 分泌顆粒 / インスリン / 細胞増殖 / 糖尿病 |
Research Abstract |
内分泌細胞においてペプチドホルモンは、分泌顆粒に貯留・蓄積され、細胞外からの刺激に応答して分泌される。この分泌顆粒の開口放出機構には、特異的な制御蛋白質が機能することが考えられ、これまでに代表者は、膵β細胞のインスリン顆粒を中心に研究を進めてきた。しかし開口放出以外の分泌顆粒の動態は、分子レベルの解析が遅れている。本研究では、分泌顆粒に局在する特異的な分子(蛋白質)の分子生物学的・細胞生物学的解析を通じて、開口放出機構とともに、膜のリサイクリング機構とホルモンの分解機構の解析を新たに進めていく。 フォグリンは分泌顆粒に局在する膜蛋白質で、顆粒の動態観察における重要なマーカーである。申請者はこれまでに、フォグリンの細胞内局在や動態を明らかにしてきたが、この蛋白質の生理機能は不明である。フォグリンに特異的なshRNAを発現するアデノウイルスを作製し、遺伝子ノックダウンの解析を行ったところ、予想外に、ホルモン分泌に関与せず細胞増殖を制御する役割があることが判明した。膵β細胞のノックダウンにおいて種々の蛋白質の発現プロファイルを解析すると、興味深いことに、インスリンシグナル伝達に関与する蛋白質群に著しい変化が観察された。フォグリンによるインスリンシグナル関連蛋白質の安定化は、インスリン分泌とその後のオートクライン作用に依存していることが明らかとなった。さらに、フォグリン特異抗体を使った免疫沈降法により結合蛋白質を探索したところ、インスリン受容体を同定した。グルコース刺激によるインスリン分泌は、フォグリンを細胞膜へと移行させてインスリン受容体との結合を誘導した。従って本研究結果は、フォグリン蛋白質がオートクライン作用によるインスリンシグナル伝達に関与し、β細胞の増殖を制御していることを示唆している。
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Research Products
(6 results)