2008 Fiscal Year Annual Research Report
モータータンパク質の運動特性が細胞内膜輸送に果たす役割
Project/Area Number |
19770161
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
富永 基樹 The Institute of Physical and Chemical Research, 中野生体膜研究室, 研究員 (50419892)
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Keywords | モータータンパク質 / ミオシン / メンブレントラフィック |
Research Abstract |
植物細胞で明らかになりつつある複雑な膜交通や、細胞小器官特異的な運動の制御には、モータータンパク質の介在が不可欠である。微小管をメインレールとし、多種多様なモーターが関与している動物細胞に対し、植物細胞ではアクチンフィラメントがメインレールとなっている。ところが関与するモーターは植物特異的ミオシンVIIIとXLの2クラスのみである。ただ、両者とも多数のメンバーを擁しており、ミオシンVIIIにおいて4メンバー、ミオシンXIに至っては13のメンバーが存在する(シロイメナズナ)。メンバー毎の運動や制御機能の多様性が、植物の膜交通を制御している可能性が考えられる。植物特異的なミオシンによるユニークな輸送システムを、分子から細胞レベルまで解析することにより、真核生物に共通するモーター輸送の基本原理を抽出する。 膜交通におけるメンバー個々の機能を同定するためには、全長の発現による局在や運動の詳細な解析が不可欠である。今回シロイヌナズナから、全ミオシンメンバー全長のクローニングに成功した。ミオシンの運動機能に影響がないとされるN末端に蛍光タンパク質を導入し、シロイヌナズナのプロトプラストにおいて一過的発現を行った。ライブイメージングの結果、メンバー依存的に形状やサイズの異なる細胞小器官に局在し、固有の運動を行っていることが明らとなった。また、オルガネラマーカーとの共発現において、一部メンバーがTGNに局在することが分かった。ミオシンメンバー間での広範な機能分担を示す結果が得られたことで、膜交通における植物独自のユニークな制御システムの存在が示唆された。
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