Research Abstract |
本研究ではアポトーシスといった個々の細胞内で生じる細胞現象が,いかにして石灰化,特に血管の石灰化に結びつくのか検討すると共に、そのメカニズム解明を目指すことを目的としている。平成21年度は、平成20年度までに作成したアポトーシスプローブのコンセプトを利用し,さらに正確にアポトーシスを検出できるように,生細胞内のmRNAをリアルタイムに検出するナノプローブの開発を行うと共に,単一細胞に対して選択的・特異的にアポトーシスを誘導する手法について検討を行った。 細胞の状態を解析する上で,タンパク質同様,mRNAも重要な指標となる。単一細胞において,生きたままリアルタイムに細胞内のmRNAを検出することができれば,アポトーシスなどの細胞現象をより正確に検出することができる。そこで,遺伝子の発現が活発で,なおかつアポトーシスとの関連が報告されているGAPDHをターゲットとして,単一生細胞内においてmRNAを検出する新規手法の開発を行った。 mRNAに対して常温で特異性・反応性に富むモレキュラービーコンを,直径400nmに先鋭化したAFM探針(ナノ針)に修飾することで,GAPDH mRNAに対する特異的ナノプローブを作成した。作成したナノプローブを、AFMを用いて特定の細胞に挿入したところ,細胞内においてGAPDH mRNAの検出に成功した。これにより,単一生細胞内のmRNAをリアルタイムにかつ低侵襲的に検出する技術の開発に成功した。 また,特定の細胞のみにアポトーシスを誘導する系を作成するため,アポトーシス誘導因子の一つであるTRAILをアガロースビーズ上に共有結合で固定化,このTRAIL修飾ビーズを用いてアポトーシスの誘導を行った。TRAIL修飾ビーズを細胞に添加することで細胞のアポトーシス誘導が可能であった。現在,特定の単一細胞のみにTRAIL修飾ビーズを接触させ,アポトーシスを誘導する手法の開発を行っているところである。
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