2007 Fiscal Year Annual Research Report
大脳発生におけるニューロン分化期の長さを決定するメカニズム
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19770164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平林 祐介 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (80447391)
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Keywords | 脳・神経 / 発生分化 |
Research Abstract |
これまでの研究により、Wntシグナルは周産期以降の神経系前駆細胞に対してはニューロン分化を促進しない事が明らかになった。その理由を検討したところ、発生が進むにつれて、Ngnl,Ngn2のプロモーター領域のヒストンアセチル化量(開いたクロマチン状態に貢献)が低下し、逆にヒストンH3 Lys27トリメチル化量(閉じたクロマチン状態に貢献)が増加することを見出した。そこで、H3 Lys27トリメチル化による遺伝子発現抑制に必須の因子であるPolycomb複合体の構成因子Ring1Bのノックアウトマウスを用いて、このH3 Lys27トリメチル化量増加の重要性を調べた。Ring1Bのノックアウトマウスの神経系前駆細胞においては、大脳発生後期においてもNgn1の発現が見られ、またニューロン分化能が保たれていた。また、このとき重要な事に、アストロサイト分化は抑制されていた。このことは、大脳皮質発生において神経系前駆細胞のニューロン分化期からグリア(アストロサイト)分化期への運命転換にPolycombを介したクロマチン状態の抑制が重要であることを示している
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