2008 Fiscal Year Annual Research Report
大脳発生におけるニューロン分化期の長さを決定するメカニズム
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19770164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平林 祐介 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (80447391)
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Keywords | 神経幹細胞 / ニューロン / エピジェネティクス |
Research Abstract |
同じ種であればそれぞれの個体の脳はほぼ一定の数のニューロンやグリア細胞を持つと考えられる。複雑な機能を持つ神経系が正確に発生するためには、産生されるニューロンやグリア細胞の数が厳密に制御されなければならない。神経幹細胞は大脳皮質であれば発生中期にはニューロンを主に産み出し、周産期以降には主にアストロサイトを産み出す。従って、正しい数のニューロンと正しい数のグリアが生み出される為には、ニューロン分化期の長さ(神経幹細胞がニューロンを産み出す分裂を何回するか)が厳密に決まっていなくてはならない。この時、ニューロン分化期からグリア分化期への転換にはプロニューラルbHLH発現の抑制が必須であり、プロニューラルbHLHの発現が低下するタイミングこそが、ニューロン分化期からアストロサイト期への転換のタイミングを決める主要な要因のひとつであると考えられる。そこで、本研究においてその理由を検討したところ、発生が進むにつれて、Ngn1, Ngn2のプロモーター領域のヒストンアセチル化量(開いたクロマチン状態に貢献)が低下し、逆にヒストンH3Lys27トリメチル化量(閉じたクロマチン状態に貢献)が増加することを見出した。Ngn1, Ngn2プロモーターという特定の遺伝子座に起こるエピジェネティックな状態の変化が、いわば時間を測る「Clock」として働き、Ngnの発現をある時期にOFFにしていることを示唆している。
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