2007 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレスに応答した膜結合性転写因子ATF6の選択的出芽機構
Project/Area Number |
19770170
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 徹也 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (70378529)
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Keywords | 小胞体 / 小胞輸送 / ストレス応答 |
Research Abstract |
小胞体膜結合性転写因子ATF6は、高等動物の小胞体ストレス応答において中心的な役割を果たすと考えられている。小胞体に高次構造の異常なタンパク質が蓄積すると、ATF6は小胞体から出芽して小胞輸送によリゴルジ体へ移行し、ゴルジ体に局在するプロテアーゼSIPおよびS2Pによるプロセシングを受ける。その結果、ATF6の細胞質側ドメインが膜から遊離し、異常タンパク質の修復を行う小胞体シャペロンを転写レベルで誘導する。このように、ATF6の活性化プロセスと活性化の意義については理解が進みつつあるが、ATF6がストレスを感知して小胞体から選択的に出芽する分子基盤については不明な点が多かった。本年度の研究ではATF6の出芽機構に関して以下の成果を得た。1.高等動物の小胞体ストレス応答においては、ATF6の他に小胞体膜貫通型リン酸化酵素IRE1およびPERKが機能しており、それぞれ独自の転写誘導経路を制御している。興味深いことに、PERK欠損細胞においては異常タンパク質の蓄積に応答したATF6の活性化が著しく減弱することを我々は見い出した。この事はATF6の出芽過程のいずれかの段階にPERKが関与することを示唆しており、これまで独立に機能すると考えられて来たセンサー分子が機能的に相互作用する可能性を初めて示した。2.ATF6の出芽機構を解明するためには、ATF6複合体を細胞内から精製し、その構成分子を同定することが有効である。しかしながら、ATF6が膜タンパク質であるため、可溶化と複合体の精製は非常に困難であった。そこで本年度では、細胞内に発現させるATF6の長さを検討し、可溶化と複合体の精製に適したATF6変異体を得ることに成功した。この変異体は野生型ATF6と同様に、異常タンパク質の蓄積を感知してゴルジ体に移行する応答性を有しており、この変異体ATF6を用いてATF6複合体を精製することにより、ATF6の選択的出芽の分子機構が解明できると期待される。
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Research Products
(1 results)