2008 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物のM期脱出および細胞質分裂におけるLats2の役割
Project/Area Number |
19770175
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
薮田 紀一 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (10343245)
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Keywords | Lats2 / Lats1 / Aurora / キナーゼ / リン酸化 / 細胞質分裂 / M期脱出 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本研究の目的は哺乳動物のM期脱出および細胞質分裂におけるLats2の役割を明らかにすることにある。ほぼ研究計画どおり順調に進み以下の成果を得た。1. M期においてAurora-AキナーゼがLats2のN末領域の異なる3箇所のアミノ酸残基をリン酸化し、これら3箇所のリン酸化型Lats2が互いに異なる分裂装置上へ局在することを見出した。これらの結果は、Aurora-Aによる複数のリン酸化がLats2のダイナミックなM期局在を制御していることを示唆している。同時に、この結果は一種類の蛋白質の局在が異なる部位のリン酸化によって別々の分裂装置上に仕分けされる極めて珍しい現象でもある。2. siRNAにより内在性Lats2あるいはLats1をノックダウンすると細胞質分裂の異常が観察された。Lats2による細胞質分裂制御の分子経路を探索するため、細胞質分裂の主要キナーゼであるAurora-Bを含む複合体CPC(Chromosomal Passenger Compiex)の細胞内局在を調べたところ、Lats2ノックダウン細胞においてCPCのM期局在制御が異常になることを発見した。これらの結果から、我々はAurora-A-Lats2経路がCPCの局在制御を介して正確な細胞質分裂を行う新たなシグナルカスケードが存在することを提唱し、これを「ALC(Aurora-Lats-CPC)経路」と命名した。この経路の一部は出芽酵母のM期脱出経路(MEN)においても保存されていた。3. Latsl^<-/-;>Lats2^<-/->のダブルノックアウトマウス作製したところ、予測どおり胎生致死であった。その原因を詳細に調べた結果、Lats2とLats1が協調して着床前の胚発生過程に不可欠な役割を果たしていることを見出した。以上のように、本研究では哺乳動物のM期脱出および細胞質分裂におけるLats2の役割を明らかにした。
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Research Products
(7 results)