2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア外膜蛋白質の輸送機構とその破綻の生理的意義
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19770176
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大寺 秀典 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 助教 (40380612)
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Keywords | 潰伝子 / 蛋白質 / プロテオソーム / 生体分子 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
前年度までにミトコンドリア(以下Mt)外膜のポリトピック蛋白質のモデル蛋白質として末梢型ベンゾゼアゼピン受容体PBR(Mt 外膜5回膜貫通蛋白質) の輸送機構を生化学的に解析するため半透過性細胞(セミインタクト細胞) を用いた試験管内輸送反応系を立ち上げた。本年度は PBR の輸送初期過程すなわち Mt 外膜標的化に必要な外膜受容体を同定するため既知の膜受容体の RNAi スクリーニングを行い PBR の輸送への影響を網羅的に探索した。その結果、これまで外膜受容体としてはあまり機能が知られていないTom70の発現抑制によりPB R の輸送が顕著に阻害されることを見いだした。さらに PBR はTom70 の細胞質領域と結合することから Tom70 が Mt 外膜ポリトピック蛋白質の外膜受容体として機能することを明らかにした。その他の Mt 外膜ポリトピック蛋白質(Mfn2:2回膜貫通、MITOL:4回膜貫通)についても調べたところ PBR と同様の結果が得られたことから Tom70 が Mt 外膜ポリトピック蛋白質全般の外膜受容体として機能する可能性を示した。さらに輸送機構に関連して以下のことを明らかにした。(1) エネルギー要求性について調べたところ PBRの Mt 外膜標的化以降の過程に ATP 加水分解エネルギーが必要であること、(2) 明確な輸送中間複合体を形成せず膜標的化後は速やかに膜内配向性を形成することを明らかにした。以上、全く解明されていなかったMt外膜ポリトピック蛋白質輸送機構について新しい知見を得ることができた。
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