2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷時におけるp53の新規標的遺伝子産物による細胞分裂期の制御機構の解析
Project/Area Number |
19770178
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐藤 恵理 (織田 恵理) Nippon Medical School, 老人病研究所, 講師 (90339440)
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Keywords | 細胞周期 / DNA損傷 / p53 |
Research Abstract |
癌抑制因子p53の発現レベルは通常非常に低く保たれているが、DNA損傷などのストレス刺激や癌遺伝子の活性化などにより安定化され転写調節因子として標的遺伝子の発現を誘導し、細胞周期の停止、DNA修復、アポトーシスの誘導を行うことが知られている。私は、マイクロアレイ法により、p53依存的に抗癌剤アドリアマイシンにより発現誘導される遺伝子群18種類を単離した。そのうちクローン#130はCullin3を中心とする複合体型E3ユビキチンリガーゼの新規サブユニットであった。そこで、yeast two-hybrid法により130の基質の同定を行った結果、#130に結合する蛋白質#130BP-1を単離した。これまでに、過剰発現系で、#130BP-1は#130に結合し、ユビキチン化され分解されることを明らかにした。また、#130-BP1は中心体に局在し、分裂期キナーゼAurora-Aと結合し、キナーゼ活性を上昇させることを見出した。また、同時に#130を過剰発現させるとAurora-Aのキナーゼ活性を抑制することを見出した。更に、HeLa細胞を、G1/S期に同調させて、細胞周期再開と同時に#130をアデノウイルス発現系を用いて高発現させると、G2/M期の遅延が起こった。また、#130の発現をsiRNA法により抑制した細胞にアドリアマイシン処理をすると、G2期の停止が起きないことから、#130はDNA損傷時にG2期停止を起こす役割をすることを明らかにした。以上のことから、通常#130-BP1は分裂期に中心体に存在し、Aurora-Aの機能を補佐する役割をしているが、DNA損傷時には、p53依存的に#130の発現が誘導され、#130-BP1をプロテアソーム分解経路により分解しAurora-Aを不活性化することによりG2期から分裂期への進行を抑制するのではないかと考えた。今後、更に#130の機能を詳細に解析し、p53による分裂期制御の解析を行う予定である。
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