2009 Fiscal Year Annual Research Report
染色体分配ダイナミクスを制御するマイクロメカニクス
Project/Area Number |
19770180
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
板橋 岳志 Waseda University, 理工学術院, 講師 (20434384)
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Keywords | 細胞構造 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
染色体分配のメカニズムは、分配過程に関わる多くの分子の分子生物学的な同定や、細胞生物学的な観察に基づき分子機能の予測を中心に研究されてきた。本研究では、生物物理学的手法を用いて、マクロな紡錘体や染色体における力の作用から、ミクロな分子内、分子間の力の機能を時間的・空間的に明らかにすることによって、染色体分配機構における"力"の本質を解明することを目的としている。 今年度は、ガラス微小針を用いて、アフリカツメガエル卵抽出液中で形成させた中期紡錘体に様々な力学的負荷をかけた時の、微小管ダイナミクス応答及び、両極性維持機構について、検討した。以下に、その結果を箇条書きにする。 (1)力学的顕微操作時の紡錘体の応答ダイナミクスの解析 力学的顕微操作のみによって、紡錘体を様々なサイズへ再構成させることができるという発見について、そのサイズ変化時における微小管のダイナミクス変化(微小管量、紡錘体極方向への微小管の流れの速度変化等)について、昨年度に引き続き、定量的な解析を行った。紡錘体のサイズや形状を制御する機構において、力学的顕微操作によって、紡錘体は、局所的な微小管ダイナミクス変化を伴ってサイズや形状を再構成させつつ、その後徴小管ダイナミクス自体もサイズに適応させることが明らかになった。(2)紡錘体の左右対称性を維持するメカニズムの解析 これまで、紡錘体の極間方向に注目して顕微操作してきたが、極間方向に直交する方向への力学的顕微操作の影響も解析した。その結果、両極性紡錘体へ左右非対称な変形を加えた時、本来のラグビーボール状の形状を失った左右対称な樽型の形状へ変化することが観察された。これは、紡錘体は常に形状を左右対称に維持する機構を保持していると予測され、左右対称維持機構に関わる要素を精査している。
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Research Products
(5 results)