2007 Fiscal Year Annual Research Report
Akt-Ralシグナルが細胞運動を調節するメカニズムの解明
Project/Area Number |
19770184
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉崎 尚良 Kyoto University, 生命科学研究科, 研究員 (00443490)
|
Keywords | シグナル伝達 / 細胞骨格 / FRET |
Research Abstract |
低分子量Gタンパク質Ralは細胞内シグナル伝達機構において癌遺伝子のRasの下流で働くスイッチ分子である。その役割は単に、Rasからのシグナルを中継するだけでなく、細胞内の複数のシグナルを統合したり、分岐したりしている。例えばRalAはRas、Rac、PI3-Kの3つのカスケードからシグナルが入力される。申請者は、このような複雑なシグナル伝達カスケードを明らかにするために蛍光共鳴エネルギー移動を応用したバイオセンサーを開発し解析を行った。申請者はこれまでにRasファミリーGタンパク質、リン酸化酵素、リン脂質等のFRETプローブを開発し、上皮増殖因子(EGF)刺激によりRasは形質膜上で緩やかな勾配を持った活性化を示すこと、またRalAは葉状仮足上で限局した活性化しか示さないことを明らかにした。本年度は、EGF刺激により、PI3-Kの代謝産物であるフォスファチジルイノシトール3リン酸(PIP3)は形質膜上で均一に分布すること、それに対しPIP3の代謝産物フォスファチジルイノシトール(3,4)2リン酸[PI(3,4)P2]は細胞辺縁でより高い分布を示すこと、またAktの活性化の局在とタイムコースがPI(3,4)P2の分布の変化と相関することを示し、RalAの限局した活性制御におけるPI(3,4)P2とAktの関与について考察を行い、RasとPI3-KシグナルはRalGEFで収束しRalAの活性の限局化につながることを明らかにした。
|