2007 Fiscal Year Annual Research Report
カタユウレイボヤ突然変異体のトランスクリプトーム解析による変態機構の解明
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19770193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱田 麻友子 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 研究員(科学研究) (40378584)
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Keywords | 発生・分化 / ホヤ / 突然変異体 / 変態 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究ではカタユウレイボヤにおいて、変態過程に異常が見られる変異体であるswimming juvenile (sj)1〜4を利用することによって、複数のイベントが連続的に進行する変態過程を個々の変態イベントに分離し、単純化した形で調べることが目的である。 当該年度においては、まずセルロース合成酵素を原因遺伝子とする変異体sj1のマイクロアレイ解析を行い、この変異体でどのような遺伝子が増加もしくは減少しているのかを調べた。さらに、マイクロアレイの結果として得られた遺伝子について定量的Real Time RT-PCRによって検証を行い、変異体で増加している遺伝子を5つ同定した。これらの遺伝子の発現部位をin situハイブリダイゼーションにより調べたところ、いずれも成体組織の原基である間充織に発現していることが明らかになった。sj1変異体は、通常では変態過程の最初のステップである尾部の吸収が起こらないまま、体軸回転が始まってしまう突然変異体である。このような変異体において、間充織で発現量の増加する遺伝子が見られたことは、体軸回転において間充織がダイナミックに変化していることを示唆しており、今回同定された遺伝子は体軸回転のプロセスに関わっている可能性が高く、今後これらの遺伝子が実際にどのような機能を持っているかを調べる必要がある。また、今回得られたストラテジーを用いて異なるsj変異体を解析することにより、他の変態イベントに関わる遺伝子を同定し、変態という大幅な体制の変化を遺伝子発現レベルで理解することができると考えられる。
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